2011.6.17
てんかんとは慢性的な脳の病気です。
普段は普通に生活しているのですが、脳内の神経回路がショートしてしまうと突然に発作が起きてしまうのです。
脳の中では、つねに規則正しく微量の電気が流れています。正常な神経細胞は電気的ショートを起こした神経回路に対し、さらに広がらないよう抑えています。
しかし、体調や環境の変化などにより電気的ショートが周囲の神経回路に広がってしまうことがあります。
この時に「てんかん発作」が起きるのです。
ワンちゃんの場合、100頭に1頭の割合で、ネコちゃんの場合には100頭に1頭以下の割合で起こるといわれます。
繰り返し起こる発作の間隔は様々で、毎日起こす場合もあれば、1年に1度という場合もあります。
発作は自然に治まりますが、慢性的な脳の病気ということから発作を繰り返すたびにさらに発作が起こりやすくなり、症状も悪化していきます。
ついには発作が休む間もなく起こり(てんかん重積状態)脳圧が上がったり、肺水腫によって呼吸が止まったりして急死してしまうことも少なくないのです。
原因からは、次の2つに分けられます。
・特発性てんかん:原因がわからない場合です。検査によって他の原因が否定された場合 に診断されます。遺伝的な要素が関連すると考えられます。
・症候性てんかん:交通事故など外傷による後遺症。脳炎や水頭症、脳腫瘍などの障害 により起こります。
発作の症状から分けると。
・部分発作:意識が残っていて体が動かないとか、部分的な筋肉のけいれんやひきつけだけが起きている場合など。
・全般発作:全身が大きく、激しくけいれんして、その間は意識もありません。
さらに、次の3つのパターンがあります。
1、強直発作:体をのけぞらせ、ぎゅーっと四肢を伸ばすだけのけいれんです。
2、間代発作:四肢を激しくけいれんさせる状態。四肢の縮んで伸びるという速い運動を繰り返します。
3、強直間代発作:強直発作のけいれんを起こし、その後に間代発作のけいれんが続く様態です。
また、初めて発症した年齢からみて、原因を推測する目安があります。
<ワンちゃんの場合>
1歳未満:水頭症などの奇形や感染などによる炎症、低血糖など
1〜5歳齢:特発性てんかんなど
5歳齢以上:腫瘍など
<ネコちゃんの場合>
7歳齢くらいまで:FIPなどのウイルス性疾患による髄膜炎、猫虚血性脳炎など
7歳齢以上:腫瘍、真性多血症など
てんかんを診断するための検査はありません。
てんかん以外の病気を除外するために、てんかん発作と同じような症状を引き起こす他の病気を持っているかどうかを調べます。
てんかんと診断された場合に、現在のところ薬による治療がほとんどで、なるべく副作用が少なくて効果のある抗てんかん薬を使うことになります
原因がはっきりしている症候性てんかんの場合には、原因に適した治療が必要となります。
てんかん治療の目標において、残念ながら完治することは難しいですが、発作を起こす回数をできるだけ減らすことは可能です。
抗てんかん薬による治療で、およそ9割近くの発作を抑えることができます。
てんかんを患うワンちゃん・ネコちゃんにとっても、そして苦しそうな発作をみるご家族の方にとっても、少しでもより落ち着いた生活を送ることが出来ると思います
そして、発作が起きてしまった日だけでも構いませんので、日時や状況などをメモしてあげてください。おやつなど間食をした場合にも記してください
何やらいつもと違うストレスや、食事などが発作を誘発する要因となる場合もあるため、前もって把握しておくことは大切だと思います
ゆいまーる動物病院は神奈川県川崎市宮前区にある動物病院です。当院は、大切な家族の健康を守る地域のホームドクターを目指しております。親身となった対応を心がけておりますので、どのようなことでもお気軽にご相談ください。
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