2011.9.3
子宮蓄膿症? 一度は聞いたことのある病名かと思います。
動物病院で、避妊手術について相談された際には説明を受けるはずです。
ほぼ無菌状態である子宮内膜に細菌が感染し、炎症を起こす病気が「子宮内膜炎」。
さらに感染症が悪化して、子宮内に膿が貯留する症状を「子宮蓄膿症」といいます。
〜 症状は? 〜
一般的な症状としては発熱、食欲不振、多飲多尿、嘔吐、脱水などがあります。
子宮内に貯留した膿が多ければ、お腹が大きく張ってきます。
また細菌の毒素によって腎臓がダメージを受けると、たくさんオシッコをする結果として水を飲む量も著しく増えてきます。
子宮の入り口が開いていれば膿汁が排泄され、シッポや陰部周りの毛や皮膚に付着して悪臭を放つようになります。
しかし子宮の入り口が閉じている場合には、子宮の中の膿汁がどんどん貯留していきます。
症状がさらに悪化すると、子宮が破裂して膿が腹腔内に飛び散り腹膜炎を起こし、病原菌の毒素の影響で腎臓障害や多臓器不全、敗血症を引き起こして死に至ることもあるのです。
〜 原因とメカニズム 〜
成犬となった雌のワンちゃんは、通常6〜7か月の発情周期があります。
卵巣で作られた卵胞ホルモンの働きで、卵巣内にある卵胞で卵細胞が発育し、やがて排卵が起こります。
すると卵巣内で黄体ホルモンが作られ、その働きにより子宮の内膜が厚くなり、子宮腺が増加され、受精卵が着床できる準備が整えられるのです。
黄体期の始まりで8〜10週間程、妊娠のための準備段階となります。
この時期、雌のワンちゃんの体では、雄の精子を受け入れやすくするために、免疫機能が低下します。
精子が攻撃を受けないということは、病原菌なども攻撃を受けにくいということになります。
また、子宮での受精卵が着床・発育しやすいようい、動きが静かになり、受精卵を守るために子宮の入り口がとじられます。
もしも、この時期に大腸菌などの細菌が膣から子宮に侵入すれば、退治されずに内部で生き残る可能性が非常に高いのです。
避妊手術を受けていない雌のワンちゃんで、妊娠・出産の経験がなく、何かの原因でホルモンバランスが悪くなれば、子宮内で細菌感染が起こりやすくなるのです。
さらに、年齢を重ねて体の免疫機能が低下していれば、病気になる危険性は増すのです。
また、猫は交尾排卵動物なので、犬に比べて子宮蓄膿症の発生は多くありません。
ただし、まれにですが発症することもあるのです。
〜 治療 〜
子宮蓄膿症の治療には、対症療法の内科的治療と、根治療法として外科的治療があります。
<内科治療>
細菌の働きを抑えるために抗生物質を使用。
また黄体ホルモンの働きを止める薬剤を使用する場合もあります。
しかし、これはあくまで対症療法であり再発する確率は高いのです。
<外科手術>
子宮卵巣の全摘出術が最も確実な方法です。
特に子宮の入り口が閉じていて、膿の排出がみられない閉塞性子宮蓄膿症の場合には、子宮内に膿が貯まる一方で、いつ子宮が破裂し膿が腹腔内に飛び散るか分かりません。
また、膿が貯まった状態が長く、急に症状が悪化してくれば、異常増殖した細菌の毒素が体内に回り、命にかかわる状態にもなりかねないのです。
できるだけ早く症状を発見し、外科的治療を行うことが大切です。
〜 予防 〜
子宮蓄膿症に対する最善の予防策は、やはり避妊手術です。
若い時期に適切な避妊手術を受けていれば、子宮内膜炎や子宮蓄膿症などの子宮感染症にかかる恐れはないからです。
そのうえ、1歳になる前の初回発情前後に避妊手術をしていれば、90%以上の割合で乳腺腫瘍の予防に役立つことになるのです。
子宮蓄膿症に対して特に気を付ける必要がある期間としては、
発情が来てからの2〜3か月の間は要注意です
気になる症状がある場合には、一刻も早く動物病院の診察を受けましょう
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