乳び胸

数日前から呼吸の様子がおかしいということで来院されたネコちゃんです。

 

診察中もお腹を動かして努力性の呼吸です。

 

食欲や元気も無いとのこと。

 

レントゲン検査や超音波検査にて胸腔内に液体貯留が確認されたため、胸腔穿刺を実施すると、

 

 

 乳び胸1.jpg

 

うすい乳白色をした液体。

 

乳び胸です。

 

乳び胸とは、胸腔内に乳糜と呼ばれるリンパ液が貯留する病態です。

 

原因として外傷や心臓病、腫瘍やフィラリア症、血栓症などが知られていますが、そのほとんどは特発性です。

さまざまな内科的・外科的な治療法が知られていますが、まだ確立された治療法はありません。

 

まずは可能な限り胸水を抜くと次第に呼吸は改善し、食欲も回復して元気に動き回れるようになってくれました。

 

ただし根本的な原因が取り除けたわけではないため、しばらくするとまた溜まってしまうのです。

 

その度ごとに胸水を抜く処置を繰り返してきました。

 

次第に処置後の改善も少なくなり、また原因を精査するためにも二次医療の受診を希望していただきました。

 

心雑音は認められず、レントゲン検査でも心臓のサイズや形状は正常とのこと。

超音波検査にて「肥大型心筋症」あるいは「調節帯型心筋症」との診断。

 

この心筋症が起因して乳び胸となったと考えられたため、早速に治療を開始していただきました。

 

しかし、残念ながら先日虹の橋へと旅立たれました。

 

そして、とても深い悲しみのなかにもかかわらず、飼い主様からは当院あてに暖かなお手紙までいただきました。

 

いつも診察のため来院すると、恐怖心からか小さく震えていた様子や、つらい治療にもジッと耐えてくれていた姿を、決して忘れることはありません。

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